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静岡県議会 平成15年6月定例議会 

西原茂樹県議会議員の質問に対する石川知事答弁


(質問要旨)
1 知事の政治姿勢について
(1)富国有徳と意味ある人
知事は、現在、「富国有徳」の基本理念の下、魅力ある地域づくりを進めている。一方で、知事は、就任以来、「快適空間しずおか」づくりをめざして、さまざまな事業に取り組んできた。
 この「快適空間」と「富国有徳」の違いは、基本理念に向かっていく人間性の違いであると考える。
 「富国有徳」や「意味ある人」は、県政の上で、どのような意味づけがされているのか伺う。
 また、知事の言う富国有徳と二宮尊徳の「報徳思想」は少し違うような気がするが、知事がイメージしている「有徳」と「報徳」はどう違うのか伺う。


(知事答弁)
 西原議員にお答えいたします。はじめに、私の政治姿勢についてのうち、富国有徳と意味ある人についてであります。
 私が、県政のかじ取りを行う者として、「富国有徳」を基本理念として進んでいきたいと考えました背景には、日本の在り方を見据え、次世代につながる「地域づくり」や「人づくり」を進めていく上では、県民の皆様の中のかなり多くの方々が共有できる理念、あるいは理念の共有化のもとに、そのような県政を運営していかないと、願っておるような結果が出ないと、そういう感に打たれたことから、この富国有徳の基本理念を掲げるに至ったわけであります。それ以前は、すなわち、私の1期、2期の間は、先生のお話の中にもありました、「快適空間しずおか」ということをスローガンにしておりましたけれども、これは3期目の選挙の時にも申し上げましたが、「快適空間しずおか」という言葉は、私は、自分自身は大変世界的にも普遍性を持ついい概念だと思ったんですけども、何か非常に響きが軽いせいか、最近のいろいろ企業のコマーシャルには快適空間というのが踊っておりますけれども、政治理念としてはなかなか、あるいは地域づくりの理念としてなかなか浸透しがたい、もう少し多様な内容、多義的でも結構だから、皆が関心を持って、そういう理念というのはどうしたら実現するのかと、真剣に考えていろんな取り組みを促すような、そういう言葉がないかなとずっと探っておったところに、川勝平太教授の言葉に私はいき合ったわけであります。これはいい言葉だと思っておりましたところ、小渕内閣が発足した時に、最初の施政方針演説でこれが取り上げられてきたと、これはもう、得たりと非常に期待したわけでありますけれども、残念ながら、それが具体化する前に、亡くなられました。そこで、誠に勝手ながら、私はこれを静岡県の地域づくりに掲げて進んで行こうと、考えたところでございます。
 この理念を提唱して、1年余りたちます。一昨年の暮れから、そういうことを私は提唱し始めたわけでありますけれども、最初は「富国有徳」と申し上げているのにも関わらず、「富国強兵」のように誤解をされたりですね、大変私も不本意な感じがいたしましたが、最近ではおかげさまで、少なくとも8割の方々は、この言葉の認識を持っておられて、そのまた半数近くが好印象持っているという、アンケート調査結果なども出ております。今後ともこのような結果に勇気づけられながら、頑張っていきたいと思います。
 一方、私も富国有徳といった時に、各地で、「あんたは報徳運動が盛んであったところだから、報徳運動やるのかね」とこう言われました。「いいえ、違いますよ」と、報徳の徳と有徳の徳は、同じ徳でも意味するところが若干違うのではないかと私は思います。西原議員のほうからもお話がございました報徳の徳は「勤労分度推譲」という言葉に集約されるといわれますが、この報徳の徳について、掛川市に本社があります大日本報徳社の現社長の榛村純一掛川市長が、大変優れた解説をしておられます。それによると、報徳の徳とは、「天・地・人」三才の徳のことをいうんだと、天と地と人ですね。そういうことであります。詳しくは、社長の書かれたご本を参照いただきたいと思うんですが、そういうことでありますが、その中の人の徳は、「勤労分度推譲」これを実践するような状態である人の徳を人の徳というふうになるようでございますが、従って、私の掲げた有徳の徳のイメージとはちょっと違う、有徳の徳は、人としての特性、備えるべき特性、あらゆる特性が考えられると思いますけれども、それをすべて兼ね備えている、これを理想とする、そういうものを有徳の人と、イメージしているわけでございます。あるいはそのような人がいっぱい指導的な活躍をしているというような地域を有徳の地域とイメージしたいという趣旨で提案しているわけでございます。
 そこで、意味ある人とは何ぞやと、これは草柳大蔵先生に中心になってお願いした、「人づくり100年の計委員会」の提言の中に出てきた言葉であります。定義というかこの言葉を持ち出した人は、草柳大蔵さんでありますけれども、この100年の計委員会のいろいろな議論の過程を経て、これが委員会としてもこういう言葉を打ち出そうということで決まったものであります。この「意味ある人」というのは、これが出た時にもいろいろ各方面から批判を受けました。なんだ意味ある人と意味ない人とを差別するのか、俺は意味ある人なのかとか、いろいろ僻みっぽい議論もありましたが、実はそうではなくて、この意味ある人というのは定義であります。この提言に述べられておりますとおり定義をしてあります。「自律をして人を思いやる気持ちを持って、なさねばならないことを敢然とやる」と、そういう人を意味ある人と名付けようと、そのような、これから人材を静岡県できちんと育てていくための、様々な具体的な活動をこれからその意味ある人という理想像を描くことによって、実践活動を提唱しているわけでございます。その限りでは、私は有徳という概念とも何ら矛盾がないし、あるいはまた、報徳の徳の中で述べられている人の徳ですね、あるいは報徳を実践する方々もこれは一種の意味ある人であると私は思います。そういう意味で、それぞれが表現は違うけれども、理想としてあるべき人の在り方を掲げて進んで行こうと、しかもそれぞれに私は道義的、あるいは人倫の考え方の面で180度違うというような内容を含んでいないと思うのであります。
 従って、私は、富国有徳というスローガンを掲げましたので、このもとに、まあ報徳運動も大いに盛んであることは結構、それに共感をしてですね、きちんとした人のあるべき道、これだと思って、様々な社会に貢献する方々が出てくることを歓迎するし、意味ある人ということを素直に受け止めて、その有意な人材を育てていただく、そういう運動が広がることもありがたいし、それを全部包含して私は富国有徳ということで捉えたいと、思っておるところでございます。
 そういうことでございますので、よろしくご理解の上、お力添えいただきたいと、思う次第でございます。特に、西原議員は県の高等学校PTA連絡協議会の会長もなさってるわけで、西原会長のご理解と行動が大変な影響をもたらすと思います。ぜひ、ご理解をいただいて、また、お力添えをいただきたい。

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