マニフェスト 西原しげき紹介 8つの約束 一言コラム かわら版 レポート メールマガジン

 

静岡県中国環境事業調査団(速報)
静岡県議会地球環境と資源を考える議員の会
幹事長 西原茂樹
昨日までの視察を振り返って現地でまとめたレポートをまとめて見ました。
正式には事務局で報告書として出されるでしょうが、団長から見た感想記録です。
11月21日
いつもの名古屋空ではない。出発カウンターも出国手続きのカウンターもひっそりとしている。うわさには聞いていたが、海外渡航を手控える人が多いと言うことか。
あっという間のフライトで私達は上海に降り立つ。
スモッグに包まれていて上空からは街の様子が良く見えないが、相変らず上海が元気そうだ。食事の後、浦東開発区をバスで見学する。
11月22日
早いフライトは今日だけにしてほしい。
5時半にモーニングコールが入ると言うが、事前にかけた目覚ましが、けたたましくなって5時過ぎには起きた。早い朝食を取って今日の目的地「寧波(ニンポー)」に向けて上海空港を飛び立つ。20分あまりで着陸する。そのままバスに乗って最初の視察地「慈渓」に向かう。
そういえば、どこに行ってももやっている。薄明かりのぼんやりした朝。朝もやなのか、スモッグなのかはっきりしないが、匂いがかすかにするので朝もやだけではないはずだ。
「ぱーぱー」「ぷーっぷー」とクラクションが鳴り響く。広い道路に車があふれ、人が勝って気ままに横断する。バイクやら自転車の二人乗りに道路の掃除人、どれをとってもいつもながらの中国にやってきたと感じる。

慈渓市内のPETリサイクル製品製造会社
最初の訪問先は、新世紀化繊有限公司。
この慈渓市は、プラスチックの集積地だ。収集から、リサイクルさらに製造まで加工機械も含めて集積している。
会社の入り口に、ウサギの皮が干してある。まだ剥いだばかりであろうか、生々しい皮が入り口の門の横にあるのがなんともいえない。
「できて3年です!」と責任者が答えるが、どう見てももっとふるいと思える建物だ。
この工場へは月2000トンのペットボトルのフレークが搬入される。現在はその70パーセントが海外からの輸入だが、来年は90パーセントにもなると言う。主な輸入先は、アメリカ、日本、台湾。工場渡しで、トンあたり370ドルで購入すると言う。国内から集まるものは品質にムラがあるが、海外からの製品は分別もされていて品質がいいという。
フレークは、釜に入れられ溶かして繊維にされて、綿の状態で業者に渡される。それが加工されて「ユニクロ」製品で日本に戻ってくるのだろうか。
一方、中国国内で集積されたものは、ここで分別フレークにされる。すべてが手作業で進んでいる。
人件費が安いからだが、なんでも機械で格好よくやろうとする日本式と比べると参考にならない。

PET選別作業

PET洗浄脱水作業


PET粒状作業


PETリサイクル製品を手に説明する社長
次ぎに訪問したのは、これらの廃プラスチックの市場。
女たちが集まってくる。
利用できないものはないぞ!と言わんばかりにあるとあらゆる廃棄物が並んでいる。
ヤマハのバイクのカバーがある。これは中国国内から持ち込まれたものであろうが、明らかに日本国内から持ち込まれた廃棄物も見受けられる。
密輸入もある。コンテナの奥のほうに原材料とまぜておくってくるという。
女たちが作業をしている金属くずを取り外している。壊れた電気部品の山は同じメーカーで日本製だった。
ここの廃プラスチック市場には、1200から1300社のブースがある。
中国でもペットボトルからのリサイクルでペットボトルは作っていないが、それでもリサイクル率は95%。5%は埋めているかカウントできない。

山と詰まれて廃プラスチック

日本の風袋も見受けられる
もう日も暮れかかった台州市内。中国日用品商城股?公司の社長から説明を受ける。接待室での質疑討論は熱心だ。
台州市は中国国内でも有名なプラスチックの生産地。台州市の生産は、年間約150億元で年間30パーセントほどの伸びを見せていると言う。
中国一番は広東省で浙江省は2番目で、その中で台州市が一番ということらしい。
「バージン減量が100万トンあとの100万トンがリサイクル原料です」と台州市の活況がうかがえる。
「この市場のスタートは建物の管理からでしたが、プラスチックの発展とともに急成長しました。これからの課題は、ブランド品の生産です」
どうもこの市場会社は、生産・販売・研究・管理・石油関連まで含めた総合商社といった感じだ。主なものが、日用品、プラスチック部品、製造機械だ。
原料の輸入先について聞くと、バージンが韓国・台湾。廃プラスチックがアメリカ、日本、台湾となる。
給与体系、労働時間、下請け会社の規模や体制などについて質疑討論が行なわれる。
熱心な質問が出てくる。
「日本ではリサイクル原料のほうが高いが、こちらではどうか」という質問に
「原料は新品のほうが高い。リサイクルが安いから廃プラスチックを集めているんです」
と言う答えに、当たり前といえば当たり前だが、日本の現状にあらためて考えてしまう。
23日台州市二日目。
今朝も早朝から視察が続く。
「一日中、廃プラスチック!これじゃあ台州市の思い出は廃プラスチックだけになっちゃう!」との意見を汲んで、午前中で視察を終了して、あすの予定であった江南の長城見学を午後に行なうことを決めると、急に元気が出て各視察先を見て回る。

おなじみのプラスチック製品
昨日うかがった日用品市場では社長が迎えてくれる。あいにく市場は休日だが、見本室は開いてくれる。
中には、見慣れた製品がずらっと並ぶ。ほとんどが日本の100円ショップで見受けられる。
次ぎに廃プラスチックの卸街がずらっと並ぶ町並み。場違いな私たちに、あっという間に人垣ができる。女性の分別作業に見入っていて、周りを見渡すと、誰一人知らない人になっている。慌てて、そこをはなれて仲間を探すが、彼らは顔や服装も大して私たち日本人と変わらない。
どこかで見かけたような風景だ。プラスチックのリサイクル原料市場にいるとなぜか昔を思い出す。洗って、むしろの上に広げて天火乾燥して、米の風選別機で篩い、さらに不良品を手で分ける作業を見ていると、農作業の工程と同じで懐かしさを感じる。
しかし、プラスチックは私が子供のころリサイクル市場などなかったのか、そもそも少なかったのか見かけなかった。
その後、プラスチックの加工機械を見学したり、ポリプロピレンの選別販売市場なども見学する。
午前中の最後は金属廃棄物の市場を見学する。
廃金属は見たことがある。鉄くずは想像したとおりだ。

PP市場にて分別作業

PPで色分け中

プラスチックの廃棄物の中から選別

風による選別

洗ったあとむしろの上で乾燥

金属廃棄物も手作業で
昼食後、1時間ほどバスで移動する。
寒さを心配したのがうそのような小春日和。
江南の長城の急峻な階段を振り返ると、晩秋の日差しにきらきらと照りかえる川面がまぶしい。
果てしなく続く回廊を歩くと、時代を一気に数百年も飛び越えて行きそうな気持ちになる。しかし時代がさかのぼっていないことは、城壁の市街側に連なる建物の風景が教えてくれる。
いきなりかわいい女工さんと窓越しに目が合った。4階建ての作業工場と同じ目線となる。忙しくミシンを回している作業室の横には、おそらく彼女達の住み込みの部屋であろう2段ベッドや洗濯物が干してある。
黒瓦の屋根が続く民家。ふと見下ろすと炊事場で油いための音がしてくる。目を凝らすと「ジュッ!」とフライパンの油が野菜の水気に白煙を上げているのが見てくるようだ。
少し歩くと、2階の軒先に、おそらく新婚であろう若い男女がにこやかに語らっている。目が合うとこちらにも笑顔を贈ってくれる。チラッと垣間見る部屋は荷物を入れたばかりだろうか片付いていない。
一気に上りつめた望楼の周りはきれいに整備された小さな公園になっている。老夫婦がのんびりと公園を散歩している。
ふと気がつくと遠くで音楽が聞こえる。先ほどまでの静寂とした雰囲気から、元気な運動会の音楽と子どもたちの歓声が混ざって聞こえてくる。
運動会だ!と直感的にわかるともうすでに足は小走りにその方向に進んでいた。「バーン」スタートのピストルの音はどこでも一緒だ。学校は衛生学校とあるが、看護婦学校だという。
元気な彼女達を見ていて、力強さを感じた。
夕方は、沈さんの学習会。
今回の私たちの交流視察団の仕掛け人とでも呼ぼうか、彼には二つの顔がある。
中国では当たり前の事だが、杭州施緑・環境技術有限公司の役員と中国貿易促進委員会浙江省分会・浙江省経済国際展覧会中心の顧問、つまり「官」の顔と「民」の顔を持つ。

(1)中国の法律について
@ 固体廃棄物環境汚染防止法(態度とか考え方)
A 廃棄物輸入規定
B 廃棄物輸入標準  廃プラスチック 廃金属 廃電動機(モーターなど)

輸入前提条件を定めたもので、@原料として使えるもの A量の制限(国内企業保護のため)
国家環境保護局が、許可証を割り当てる。会社ごとの何トンまでいいのか。
中国としては、海外からの廃プラスチックの輸入を奨励しているわけではない。しかし、実際には海外の製品(廃プラスチック)は品質がいい。
輸入にあたっては、たとえ1トンでも許可が要る。

許可にあたっては4つの管理部門がある。
@ 国家環境保護局(トップであり、環境に汚染があるかないか判断して許可証を発行する。)
A 対外経済貿易部(輸入許可証の発行。会社に権利があるか判断する)
B 税関
C 商品検査局

会社の条件は、保存用倉庫の有無、廃棄物リサイクル施設があるか、製品市場で販売できる能力があるか厳しくチェックされる。

(2)廃プラスチックのリサイクルについて
廃プラスチックの利用率は高い。
価値があるとわかっているので、自発的に回収している。しかし中国国内のプラスチックの廃棄物は何回も使っているので質が低い。
廃棄物に関わっている企業は個人経営が多い。
これらが特徴。

しかし最近の市場を見ると、価格が落ちてきている。原料を使いすぎている。コストを考えるあまり廃プラスチックを使いすぎている。
今回の視察先慈渓と台州の特色について。
慈渓は、プラスチック原料加工・民用工業製品(繊維、飲用、空調、コンセント、スイッチ、文具など)従って、PET,PE,PA,PCが中心。
台州は、(路橋、黄岩、臨海)日用品主体、一部オートバイや自動車などの大規模部品工場もある。PP,ABS,PS,PVCが中心となる。
台州のプラスチック生産は、2000年の統計で、75.82万トン。
10,800社、146,000人の従事者がいる。
しかし構成は、大手181社で26%、中小企業1813社で37.5%、個人経営の7900社の27%となっている。計算しても100%にならないが「そんなこともあります」との回答。
「貿易について問題があります!」
と沈さんの表情が厳しくなる。
日本企業から中国に廃プラスチックを輸入する場合、中間商が入って利益が取られてしまう。廃プラスチックの(年間100万トン)の60%は輸入。その中で、利益がとられていることは問題。又、品質もそのことによって安定していない。
又シーズン・シーズンオフがあってミスマッチが生じ、倉庫代がかさむ。
集める企業と、使う企業の意見や要求がうまく伝わらない。今のままでは矛盾の解決がうまく行かない。
海外からの輸入は大きい。
プラスチックの平均利用は、年間一人15kg。先進国はその倍の30〜40kg。中国市場はまだまだ伸びる。台州の100万トンのうち60万トンは海外から来ている。
慈渓はペット企業25社大手がある。一日あたり40トンから60トンのPETを使う。
寧波では廃プラスチックを月に12万トン輸入する。年間では144万トンを輸入している。
「皆さんに望むことは、廃プラスチックを集めてほしいと言うことです。」
中間商がほとんどの利益を取っている直接、廃プラや金属を集めれば利益が出るということである。
「解決できる方法はあります。1社1社と付き合うのは大変です。日本でまとめる組織が必要です。」沈さんはそれを私たちに期待する。
ある企業が、ペットなどを陳さんのルートで輸出したが、20フィートのコンテナにPET5トンでは、中国企業が相手にしてくれない。
「これでは品質管理もできないし、人脈も壊れてしまいます。」
日中の政府関係機関が協力してやれば「量の保証も時間も守れる」そのための組織を日本側、とりわけ静岡県の我がチームで検討してほしいと言うことだ。
許可証発行など単独企業で取り組むには大変。しかも慈渓などの大手企業相手となるとしっかりした組織が必要。
小さなロットだと結局中間商を入れて台州の個人企業相手に供給するしかない。
市場見込みは、浙江省の慈渓と台州だけで、年間廃プラスチックが13万2000トンから最大24万トンの必要量が見込める。
ではどんな状態でもち込めれるのか。
PETは、キャップのはかまが取れていること、8分割にしてラベルが取れていて、洗浄されていることが条件だと言う。
「いくらなら買うんですか」
メンバーの質問に、なかなかはっきり答えない。条件を詰めていくと
「透明で、販売価格が昨年でトンあたり5500元(日本円で82500円)今年は市況が下がって、4200〜4500元(63000円〜67500円)です。」が出てくる。
これは販売される価格であるから、実際に日本から輸入すると、日本集積地から港湾運賃とさらにこちらでの陸揚げ陸送などの運賃が負荷してくる。
「最近では、トンあたり3200元(48000円)と言う数字も出ています」
現実の話に、実際にPETを扱っている会員は条件などについて質問をしたが、詳細は省略する。しかし、中国側の沈さんの提案は現実問題として難しい。
国内PETリサイクルは、容器包装リサイクル法の施行にもかかわらず相変らず将来が見てこない。
容器包装リサイクル協会も、最終リサイクルについては国内処理に展望が持てない気がするし、このように中国市場に今後流れていくことも十分に予想される。
考えて見れば、中国へ行った廃プラスチックが、100円ショップのプラスチック日用品として、PETの繊維がユニクロとして日本に帰ってくるとする「立派なリサイクル」で、グローバルで見たときには「循環社会」が成り立つわけである。国内で、無理して「マテリアル」や「油化」さらに「サーマル(燃料として燃やす)」で循環社会ができましたとする必要はないのかもしれない。
翌日24日は杭集へ移動。
4時間のバスも旅も、つい最近完成したばかりのハイウエイで快適だ。
中国の高速道路の整備は目を見張る。どこかの国も行き絶え絶えの状況と全く正反対だ。ここにもこの国の力強さと魅力をも感じる。 
杭州で昼食の後、西湖の周りをバスで回り、西冷印社そして宋城と観光地を回る。杭州には平成8年以来だ。宋城ははじめてきたが、なかなか楽しめる。
宋城の中のレストランで夕食。
その後、明日の環境展覧会の会場に向かう。数人のスタッフの皆さんと、パンフレットとポスターを持って展覧会場に向かう。
ついた会場の広場は、テントが並んでいる。
「テント!ここでやるの?」一瞬不安になるが、広場の先に大きな公会堂があり、そこの入口に僅かに明かりが漏れている。
入り口の「緑色展覧会場」の看板に安心して中に入る。たくさんのブースがあり、既に会場準備を終えていたが、静岡県のブースは何も準備してない。回りは、環境機械が並べられたり、しっかりしたパネル展示がしてある。
「こんな立派な会場なんて聞いていないよ!」
と言ったところで後の祭り。県からもらってきた富士山のポスターが唯一の救い。様(サマ)になったが、後はパンフレットのみでやむなくインパクトのありそうなヤマハさんのパンフレットをばらしてブースの壁に張る。
「まあ!様になってきたね!」なんて、早く終わらせて飲みに行きたいメンバーは自画自賛。
11月25日。
少し冷え込んできたかなと感じさせる杭州の中心地に、会場となる展覧会場がある。夕べ広場に並んでいた、バザールがいっせいに店開きをして「日用品」の展示即売会をやっている。
「こっちのほうがいいね!」なんて昨日の展示に立ち会った私は開幕を少し心配する。
開会式は、浙江省の張環境局長の挨拶と私も含めたテープカットと意外とさっと始まった。
中国式テープカットは、幅が20センチはあると思われる布のテープをじょきじょきとやる。タイミングを少し間違えたので慌てる。

テープカット

代表の挨拶(右端が西原団長)
我が静岡県のブース。
僅か滞在できるのは1時間。しかし、すごい人だかり。
あっという間にパンフレットは消えていく。
矢継ぎ早の質問に対応するスタッフ、というところなのだが、たまたまいる会員が通訳の女性と四苦八苦。だれだ、インターロッキングなんて運んできたのは。これが結構人気が高い。
浙江省の大学生がブースを取り囲む。ここはきちっと静岡県の説明をしておかなければ!などと意気込むと、向こうも熱心に質問を繰り出してくる。
「環境に対する取り組みは?」
「企業環境対策で注目されるところは」
「ISOと経営戦略は?」
こちらの説明は少し誇張した面もあるが、きっと彼らは何かのヒントを「生(ナマ)」でつかんだはずだ。まあ、そうでも思わないと、あそこのブースに立った意味はない。

静岡県ブースは盛況?
しかし、これだけの出展が、だれが主催者で、責任者なのか良く分からない (団長である私がそんな不遜なことを言ってはいけないが)視察研修の一環で、持てるだけのパンフレットを持ってきたくらいで考えていた私にとっては、いささか気にかかる。
これだけの交流であるならば、特に浙江省と静岡県のことを考えると、県が関わっても良いような気がした。しかし、感覚は民間のお金と民間の運営企画がいいことは言うまでもない。
いまはやりのコラボレイトで、来年以降の課題だろう。
私達は会場を移動して、環境保護局の幹部や固体廃棄物部長などとの懇談会を開催した。
最初に、固体廃棄物の現状について説明を受ける。
浙江省は中国では第4位の人口規模を誇る。産業も軽工業や薬革製品など。
固体廃棄物年間1360万トン(2000年度)から、静岡県の1100万トンと近い数字だとあとから産業廃棄物協会の村井さんから説明がある。
生活系廃棄物は毎年10%づつ増加している。1996年から国や省の管理法で処理されてきているが、市民や企業にリサイクルをも提唱している。
危険廃棄物は約13万トン浙江省内で出ている。
この危険廃棄物については、処理センターを作っている。40億元かかるが、一期工事を
10億元で建設中だ。処理は、「無害焼却」と「無害埋め立て」。
まあ、日本流に表現すれば、「焼却炉の建設」と「最終埋め立て処分場の建設」と言うわけだ。医療廃棄物も集中回収と処理をしている。そのほか、さまざまな処理体勢もできつつある説明を受ける。
生活ごみは埋め立てがほとんど。現在は焼却場を建設している。すべてごみ発電を取り入れているようだが詳細については質問できなかった。
焼却は全体の3〜5%と言うからほとんどはまだ埋め立てだ。
「焼却を勉強したいんです」が本音か、ダイオキシン対策についての法的技術的質問が続く。
生活ゴミについては、今までは各自治体や政府系処理センターで処理をしてきた。
新しい動きとして、各家庭から処理費用を負担してもらってセンターを運営するところも出てきた。日本でいうゴミの有料化といったとこだろう。
産業廃棄物も、政府と経済的に余裕のある企業が投資して「特別処理廃棄物センター」を作る動きが出てきている。もちろん産業系でも一般的な廃棄物は各企業の責任で処理をする。
日本側からは、石膏ボウードの処理についての質問も出るが、まだ中国では考えていない。
「ごみ発電はやっていますか?昨年日本に視察したら、日本ではごみ発電は提唱しないようになってきたと聞いた。衛生的な処理のための焼却と、その熱を利用しての発電は今後の展望と思っているが?」
環境保護局の周副局長の質問に、わが団のメンバーから、環境政策の基本的な考え方について説明が続く。
日本の分別、リサイクル。容器包装リサイクルの制度や現状から、教育面での取り組みまで熱心に説明する。
「日本でも、今の中国のようにみんな埋めたし、その後は焼却しようとしてきた。日本がたどった道をたどらないでください!」
「ゴミの中から分別するのは大変。最初から分けて処理・リサイクルをすればどうか。今ならできます!」
と様々なアドバイスがメンバーから続く。
家電リサイクルなどについても説明が行われる。
「環境を良くしようと努力すると経済が落ちるが、計算した事はありますか」
中国側も努力するが、環境政策の困難さに壁を感じているようだ。
それらも踏まえて、最後は、日本側から環境政策についての政策的なことや企業の取り組みについて説明が行われた。説明は大手輸送機器メーカーの環境担当トップであり、私たちが聞いていても勉強になるが、「人の心を変えていくことが一番難しいです!」にみんな同感。
予定の時間をかなり超過して、最後に挨拶に立った浙江省の環境担当は
「私たちも皆さんと同じ考えです。しかし中国は経済成長に主力をおいています。まだまだ経済を発展させようと考えています。経済と環境の問題は難しい!これらの面で、私たちは日本に学ぶべき事がたくさんあります。これからも協力して取組んでいきましょう」と結んだ。
熱気はそのまま歓迎昼食会場に持ち込まれたことは言うまでもない。
軽い酔いの中で上海行きの列車に乗り込み杭州を後にした。
今回の視察研修は思ったより収穫のあるものでした。
意外と早い時期に中国は環境政策でも日本に追いついてくるだろう事。
更に若い世代ががんばっている現状を見るにつけても活力を感じた。
静岡県の環境にも、がんばって取組もうと、参加団員は決意を新たにしたことを確信する。
平成13年11月26日