マニフェスト 西原しげき紹介 8つの約束 一言コラム かわら版 レポート メールマガジン

 

厚生委員会北海道視察
ファーム富田会長 富田忠雄さんの講演を聞いて
9月8日〜10日
前日から夜行列車で千歳に。
千歳で飛行機で来るメンバーと合流する。
そしてバスで最初の目的地小樽へ。

小樽につく。
夕べの夜行の疲れがでたんだろう、札幌をとおって一時間半ほどの行程だったがバスの中でほとんどうとうとしていた。
どんよりした曇り空からは今にも雨が降ってきそうだ。
 

(小樽運河)
 
そんなイメージを更に強くさせる石狩湾の磯辺に目指す海麟丸ビール株式会社はあった。
煉瓦造りの3階建ての建物は最果ての日本海の小樽のイメージにぴったりだが、最先端の食品加工会社には見えない。
 

案内されたレストランの大き目のホールで説明が始まる。
目の前には、お皿と麺用のおつゆが。
BGMは最果てのイメージを奏でる。
ガラス窓の後ろは日本海だ。暗闇とあいまって少し寒々しい。

ここの特色は「冷凍寿司」だ。
生寿司の解凍技術を開発して本物の味を家庭や外国でも簡単に味わうことが可能になった。すしの命は、ごはんとネタだ。冷凍して解凍したときにご飯はぱさぱさになる。
 


(冷凍寿司を解凍すると)

北海道の道立食品化学研究所は「ご飯は白蝋化する。冷凍して解凍は無理だ」と忠告した。
しかしおいしい冷凍シャリができた。
現在では、道も応援してくれている。

ドリップ液の問題も解決した。
冷凍すると、水分が膨張して氷になる。これが細胞に突き刺さって細胞膜を傷つけてうまみを出してしまう。これがドリップ液だ。この液は、ご飯につくと美味しさが半減するし見た目がよくない。これをなくすることに成功した。
ネタの細胞間遊離水除去と細胞膜強化技術だ。この技術の応用範囲は広い。
ニチレイは漬物に使いたいという。卵やマグロにも応用されると言う。利尻のウニには既に使われている。どうも私達の水産静岡でも参考になりそうだ。
 

最初のすしに戻る。
席にも冷凍寿司が解凍された状態で出される。
食べて持て美味しい。
「現在、アメリカで月17〜8万食、中国で10万食生産販売しています。ただし日本では5万食で主に北海道です。」

(社長さん)
 

通信販売で一箱が380円、お湯で解凍して食べることができる。 
早速いただく。確かに解凍したすしには見えないが、ご飯が多少粘つく。
しかし下手なお持ち帰り寿司よりうまいかもしれない。

「日本では冷凍イコールまずいです。だからどこでも取り扱ってくれなく通販から始めたんです。たまたまテレビのあるある大辞典で取り上げてうまいって事がわかって多少ブームになってきました。うちのは解凍して8時間はうまいんです。下手な握りのお持ち帰りではすぐまずくなります。」自信たっぷりだ。

日本の冷凍食品にはたくさんの防腐剤が使われている。
冷凍解凍技術が進んでいないからだが、アメリカは違う。
アメリカは冷凍がうまいと言うイメージだ。一気に短い時間でマイナス60度まで冷やすと細菌はほとんど死んでしまう。冷凍のスピードが問題だと言う。

この工場では「菌の制御」に力を入れている。
外部の人を入れない。手術室のような密室で作業する。最近の分析を毎日やる。空気を乾燥させる。低温で管理する。部屋の人も常に消毒する。
「15度で48時間おいても細菌が10の三乗以下、これが食品の条件です。ところがこれを守るために日本のコンビニ食品は防腐剤、酸化防止剤だらけです。見てみてください」
ここではマイナス60度までに今までの20倍の速さで、更に窒素冷却の5倍の速度で急速冷凍するために細菌自体が死滅する。

話しが終わるとそばが出てきた。
「これも我が社の技術です。冷凍です。そば粉100パーセントです。」
美味しいがつなぎが入っているように感じる。
そんな気持を察したのかメンバーの質問に
「冷凍の技術と機会で圧力をかけてそばを打つので切れないんです」
納得していただいた。
その夜は、海麟丸さんで会食会となった。

福祉村へ。



(福祉村)
 

翌日は、晴れ。
小樽の町を後にして高速道路で岩見沢へ。
ここで高速を降りて栗沢町の北海道立福祉村へ。
すっかり秋の気配だ。
水田はほんのりと黄金色で収穫を待つばかり。
ススキの穂がかすかな風にゆらいでいる。

どんよりとした雲に茶色の建物があらわれる。
ここまで着て「なんか昔来たことがある!」と気がつく。
私が平成7年に厚生委員長をした時に来た。
 

ここは北海道が建設して社団法人北海道社会福祉事業団が運営をしている。
身体障害者療護施設のほかに厚生施設、授産施設、授産通所施設などがある。
入所者の約9割が脳性まひなどの重度障害を持つ。270人が居住、通所している。
昭和55年開所で約25年が経過している。そのために入所者の年齢が30歳代から50歳代が最も多い。平均年齢が41歳だ。
 
「この施設は終身です。でも親がいれば正月などには帰省します。ところが最近は両親の死などで帰省時期でも帰らない人が100人ほどいます」に障害者の高齢化がどこでも大きな問題になってきていることを感じる。
 
「問題は運営です。」事務局等の話しは深刻だ。
「全体で13億円の管理費がかかります。だいたい8億円が人件費であとの2億円が維持費、それから3億円弱が運営経費です。収入は8億5000万円ほどで、残りの5億弱は道からいただいています。しかし道ではこれを削りたいと検討を言ってきています。」
 
(授産作業)
 

道内には道立も含めてこのような施設がいくつかあるようで、併せて厳しい財政状況の中で抜本的な検討をしなければならないと言う。
授産所では箱折から紙製造、陶器や小物作りまでどこでもあるような製品作りが行なわれていた。
今日は、一ヶ月の給料支給日。うれしそうだ。

必要で大切な施設だが、運営についてはわが県も同じ。
勉強になった。
 

昼食は札幌全体が見渡せる羊が丘公園に。
クラーク博士の銅像といっしょに記念写真。
少年よ大志を抱け!いまさら大志でもないが、それぞれ意気揚揚と写真に収まる。

午後は国立療養所西札幌病院付属札幌看護学校へ。
3つの国立の看護学校を統廃合した。135人が80人になる。4月開校したばかりで建物が真しい。 

看護師の都市部への集中が懸念される。
奨学金等の制度で地方への定着に工夫を凝らすが効果はあまりあがっていない。
そんな話を伺いながらできたばかりの施設を見学させていただきました。


(羊ケ丘公園にて)

(看護学校説明)

翌日は日赤血漿分画センターです。
ここも以前視察に来たところです。
おなじみの日本赤十字ですが、もっともポピュラーなのが献血です。
平成14年度の県の献血人口は151,488人で前年よりも5,854人も増えています。
県民から集められた善意の血液によって血液製剤が作られています。
 またここでは、輸血する場合の検査を短期間でやるNAT(核酸増幅検査)をやっています。
これができるのは国内で3箇所だけです。静岡の献血のサンプルもここへ運ばれて検査されます。この検査によってB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズウイルスの3種類が検査されます。
 

(冷凍血漿パック)
 

一方もともとやっている血液製剤は大きく分けて3つあります。
大やけどの輸血、肝臓病や腎臓病ようにアルブミン。
感染症予防治療には免疫グロブリン。これは高齢化社会の到来で需要が増えそうです。
血液凝固因子は血友病患者の治療です。
 


(マイナス30度の冷凍倉庫)
 

全国から集められた結晶は赤血球などが除かれているのでパックには行っている凍結した色は黄色や橙色です。
完全凍結パックでコンテナケー図に入れてつまれているとまるで食品工場です。
詳細な説明を聞いていて、安全のために莫大な労力とお金が投じられている一端が見て取れました。

千歳空港の近くです。
空港があることによって、毎日全国からたくさんの検査血液や血漿パックが送られてきます。新たな雇用の場の創出に空港が大いに貢献しています。