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 中国との修学・文化・スポーツ交流の可能性を考える!
2004静岡県高校研修旅行調査視察団(第2回)
〜日中高校生文化・スポーツ交流促進事業〜(2004.8.25〜29)へ参加しての雑感
http://www.xitong.net/syugaku/
(詳細情報は上記ホームページを参照してください。)

中国へ

杭州西湖
杭州西湖は変わらない出迎え
名古屋空港を予定通り13時に出発したMU530便は上海の浦東(プートン)空港へ15時少し過ぎについた。
天気はいいが、台風15号のせいか蒸し暑い。
現地時間の15時30分に(時差1時間)空港を出発して杭州をめざす。
すべて高速道路のために、約3時間の行程だ。
車中で、今回案内してもらう林さんからいくつかの話を聞いた。

観光ビザの解禁
中国人の日本への観光ビザが認められるようになった。
すでに北京や上海は解禁された。9月15日から浙江省も解禁になる。
中国から日本へ観光客が来る時代が本格的になった。
中国からの観光旅行代金は5泊6日で30万近くかかっていたが、最近は15万程度になってきた。しかしまだ高い。
ヨーロッパ8日間で5カ国を回ってもそのくらいで行けることを考えると、日本は世界一物価が高いという。
日本人は中国へ来ても、平均3万円しか使わないという。でも中国人は日本へ行って、15万ぐらい使う。中国人は金持ちになった。
2010年になると1億5千万人の中国人が海外旅行をすると予想されている。
今こんな国はどこもない・・・・13億の人口だから当たり前だが。


中国人が見たいもの
東京、大阪それに富士山だ。
しかし富士山は、東京から箱根に来て見る。そして箱根の温泉に入って帰ってしまう。
静岡県は、行かない、知らない。
中国人は「富士山は、東京か、箱根!」だと思っている。
今回の観光ビザ解禁に併せて浙江省の杭州市内の旅行会社がツアーの募集に入った。
26日付の新聞に、「日本6日豪華遊」とした広告がはいった。
大阪、京都、名古屋、静岡、箱根(富士山)、東京6泊で、7999元(日本円で約12万円)だから格安だ。
人数は確定していないが、大阪と東京から入った旅行客が10月4日に静岡で合流する。
さあ!静岡の観光戦略が試されるときだ。


観光静岡の不安
「静岡へ来てくれなくても良い!」ある静岡県内の観光業関係者は言う。
国内観光地で、すでに中国からの観光を受け入れているところでは中国語表示も進む。
「来たらやるよ!」でもいいのだろうが、そんなことでは永遠に来てくれない。
「ディズニーランドのサービス精神ができていればアジアの観光地として受け入れができる。」といわれるが、現状ではとても望めない。
しかし、来るならば少なくても温泉地には中国語を入れたい。
ハードが無理でもせめてソフトのサービスを入れないとだめだ。
経済振興の大きな柱を観光に入れる日本政府。
秋葉原の40パーセントは中国人観光客の購買だというが、買い物で持つのはつらい。
ビジットジャパンは観光入れ込み客を500万人増やすが、増える見込みは中国人しかいない。その中国人観光客の意向は何か!それをつかむことが必要だ。


社会主義国?
上海の高層ビル群を抜けた高速道路の車窓からは田園風景が続く。
水田や野菜畑が続く。
農家はコメを作らなくなったと言う。
コメはキロ当たり45円と安い。コメを作っても合わない。
そこで、野菜を作った。さらに池にして魚や川えびを養殖している。
所々に植木の栽培が見える。
最近は都市開発で植木が出るらしい。これが最も儲かる農業だ。
田んぼは、中国東北地区から購入する。浙江省の田んぼの作業に、東北地区から出稼ぎが来る。
「これは地主制度の復活、社会主義と違う!」林さんは言う。


杭州へ
浙江省の州都人口627万人の杭州市内に入る。
上海から続く高速道路は片側3車線だ。
杭州へ近づくと、一部片側2車線が工事をしている。今度来るときは3車線だろう。
開発のスピードは速い。
宿泊は3日間同じ黄龍飯店。
修学旅行の調査ということもあって標準的な施設だが、申し分ない。
棟が分かれていることもあり修学旅行には都合が良い。

電気自動車
電気自動車が西湖を案内

修学旅行について
中国の経済成長が進む中で、従来の友好交流から経済交流に主軸が移ってきた。
もちろん市場経済の急成長で当たり前のことであるが、一方で、修学旅行やスポーツ文化交流の機運も上がってきた。
それは従来の「不平等の交流」から「平等の交流」に変化しようとしている。
つまり不平等とは、日本側が負担をして中国を支援する形の交流の事を指す。それを変えていこうということだ。
つまり、中国側にとっては、自己負担で友好交流をしようと言うものである。

杭州市は、旅游委員会が中心となって「日本からの修学・スポーツ文化」交流を促進しようと積極的だ。もちろん、それによっての経済効果もさることながら、若者の友好交流は次世代への大きな財産となるからだ。
もちろん後ろ盾は杭州市人民政府だ。
2002年には、杭州市の招聘事業として第1回修学研修調査団が組まれた。
報告は以下のホームページを参照されたい。
http://www.hs-pta-shizuoka.net/chugoku.html
空港チケットの負担が静岡側で、滞在調査研修の費用はすべて杭州市となる。
今回が2度目となり、修学に加えて文化・スポーツ調査が入る。
また、浙江省外事弁公室でも昨年の暮れに静岡県と同じような事業を実施した。
さらに、全国の高校の校長を100人ほどを上海と杭州で招聘した。しかし、このようなPRにもかかわらず浙江省・杭州市への修学旅行は今のところないと言う。
しかし、来年度は今回調査団員として参加した2校は実施する。
具体的な調査に来たわけだ。
少しづつ結果が出て来ようとしている。


中国修学事情
中国の高校生は休みが増えた。
日本と同じ、基本的に土日は休みだ。
さらに、春休みとしてメーデーをはさんで2週間ある。(4月25日〜5月7日)
夏休みは従来どおり7月10日から8月末まである。
秋休みは国慶節のある9月23日から10月1日まで。そして冬休みが、1月末から2月の20日程度ある。
日本の子どもたちに比べて休みが多い。
この休みを利用して、友好交流をしようと考えている。
その計画は、杭州市教育局の下にある杭州市学生暇日活動センターが担っている。
既に友好提携をしている岐阜市とは若者の交流が継続してきた。
ただし日本と違って、集団で出ないのが特徴だ。
意識をもって日本を訪問する子どもたちを任意に募集する。
もちろん親の負担だから、その負担に耐えることができる親であることが条件だ。
子どもたちの場合、6泊7日で7000元というから10万円台だ。
人数が20人程度で学校の先生も3人ほどついていく。値段や交流の関係でユースホステルやホームステイも加えると言う。
そのような事業を静岡県の各学校と杭州市とがやっていきましょうと言うことだ。
浙江省の学生(私学)は、オーストラリアやドイツに行く。日本はホテルや食事代が高い。それがネックだ。

修学旅行について
浙江省も外事弁公室や対外友好協会を通じてやっている。
それぞれができるルートで交流することが望まれる。
ただし、そのときに無理に旅行社とか交流の窓口を一本化する必要はない。
修学旅行を計画して送るのはそれぞれの学校の判断と親の負担である。
目的を持った自主的で特色のある計画を学校で考えることだ。
その的確な情報提供とサポートが今求められている。
多くを旅行会社に依存する姿勢は考えてほしい。
そして、上海や北京も含めて「全体を支援していく」姿勢が求められる。
つまり、あまり杭州市だけとか浙江省にとかこだわりすぎるのもよくない。
修学旅行は九州地区は北京や上海を中心にかなり実施されるようになって来た。
高校は4泊5日で10万をきっている。金額や目的をはっきりさせて検討すれば良い。

今の高校生に刺激が必要
現代中国を見ることによって刺激を得る。
何の刺激かと言ったら「それは生きる」ということかもしれない。
社会主義の国でも、「努力しなければ食えない」現実がある。
日本は資本主義の国だが、「努力しなくても平等」といった間違った考えが広がりすぎている。
機会平等であれば、結果不平等でもしょうがない。
但し、中国が機会平等かといえばそうでもないが。
この現実は中国で学ぶことができる。
良い悪いは別として現実を見ることは必要だ。

修学旅行を基本から考える!
それは北京の11月、修学旅行のセーラー服の生徒が集団で歩いた。
日本ではおなじみのあのミニスカートとルーズソックスだ。
「寒いのに!なんて格好だ!」
防寒服に身を包んだ中国人が怪訝な顔をした。
中国を知ろうとしてこない。
観光でもいいが、少なくても歴史認識と修学旅行の意義を考えたい。
それは旅行会社に責任もある。
許可だけしか係わらない教育委員会にも問題がある。
そもそも「教育の問題」として修学旅行の意義が何なのか、議論がされているのだろうかと疑ってしまう。
定かではないが、修学旅行は戦前の伊勢神宮の参拝が起源だという。
それがずっと続いている。
中国へ来て、中国の方に修学旅行を聞いたら「集団で行かない!希望者が目的別に小集団で行く」という。その通りだ。
全体で「行かなければならない修学旅行」は考えを基本的に改めるべきかもしれない。
本来の目的は、歴史か、自然か、交流か、その辺から修学旅行や交流を考えて進めるべきだろう。しかし、学生に刺激を与えるために浙江省・杭州との就学・文化・スポーツ交流は効果的だ。一日目は杭州市第4中学校の視察見学。

電光掲示板
電光掲示板には「熱烈歓迎」が。

教室
教室は50人学級。もちろん登校拒否はない。「学ばないものは食えない!」

杭州市旅游委員会の主催による説明交流会が開催された。

説明交流会
左から西原、李旅游委員会常務副主任、陸人民政府副秘書長、教育局叶副局長

二日目は、浙江芸術職業学院と陳経倫体育学校の視察見学をした。

陳経倫体育学校
武道の練習。(陳経倫体育学校)
 
陳経倫体育学校
体操の練習は幼稚園から。(陳経倫体育学校)

上海〜帰国
それぞれの学校レポートは今回省略した。
改めて、今回のメンバーから感想の報告が出されることを楽しみにしている。
3日間杭州に滞在し、4日目に列車で上海に移動した。
ずっと昔来たときに乗ったが、4時間以上かかった気がした。今回は2時間で上海へついた。
豫園商場や上海博物館、古くからの租界地や上海タワーのある浦東地区などを観光した。
修学旅行のお決まりコースになるだろうスポットは欠かせない。
雑技団の鑑賞もふくめてあわただしい視察を終えて、翌日朝9時のMU529で名古屋港ヘ向けて浦東空港をあとにした。
今回の視察調査研修が、それぞれにとって有意義なものとして残れば幸いである。