マニフェスト 西原しげき紹介 8つの約束 一言コラム かわら版 レポート メールマガジン

 

  ベルギーゲントフロラリーへ行こう!

「ベルギーのゲント花博へ静岡花壇が出展される!それを私たちが造りに行きます!吉田から浜松、国際大賞の受賞、そしてヨーロッパへ!西原さんもずっと応援してくれたから、一緒に行きませんか!」
そう誘われたのがきっかけだった。
ドリーム21は、吉田のしずおか緑花祭から出発した。
その彼らが自信をつけて望んだ浜名湖花博で屋内庭園で国際大賞をとった。私もうれしかったが、その彼らが「ヨーロッパで庭を作ってみたい!」と言うのだ。
ベルギーは花博に出展してくれた。お返しに静岡が出展するが、実際は先方の庭園業者が施工に当たる。
「ボランティアでお手伝いでいいんです。自費で行きます!」意気込みはわかるが、果たして実現できるか。
東海園芸の山本社長が尽力をしてくれた。
その彼がいけなくなったアクシデントがあったが、代役も決まった。
心配していた段取りもついてそれぞれ出発。
施工部隊は、6人で10日関西空港からミラノ経由でゲントへ。
県の協会担当者2名はオスロで開催されるAIPHの会議で報告をしてコペン経由でゲントへ。私は単身、パリ経由でゲントへ入る。
合流は13日となった。
私は、せっかくの機会なのでEUの環境問題、とりわけ地球環境問題について関係者の話をうかがうことにした。

◆4月11日 国際自治体化協会と日本大使館

早朝、快晴である。
ホテルの6階の窓からパリ市内南方の郊外の街並みの風景が遠望できる。
眼下では市民が犬の散歩、出勤風景だ。
ホテルで軽いアメリカンビュッフェを取って部屋で迎えを待つことにする。
フランスとの時差は日本と8時間、出迎えは10時30分だ・・と思っていた。
それ自体は正しかったが、実はフランスはサマータイムに入っていた。
9時35分、電話が鳴って「ロビーで待ってます」
財団法人自治体国際化協会の富澤次長と大嶋所長補佐が待っていてくれた。
約束の時間が時差修正してなかった私の勘違いで遅れてしまった。
急いでタクシーに乗って凱旋門の近くにある日本大使館へ。
入り口で上村一等書記官が出迎えてくれた。
入り口でまず荷物検査があり、受付へ。ここで身分証明書、パスポートを出す。厳重で中の受付担当者と受け渡しが窓越しにできないような仕組みになっている。パスポートが預けられ受付カードが渡される。
次に、前室へ入る。全員が入ったのを確認して、入り口側が占められて出口側のドアが開くようになっている。物々しい警備体制だ。
「まあ、かなり厳重な警備になってきました」植村さんが言う。
テロなど常に危機にさらされる外国の公館の現状が伝わって来る。


今日お話をうかがう方は科学技術担当の塩崎一等書記官。
専門はロボットと言うことだが、今日は原子力についてフランスの原状を伺うことにしてある。
既に原子力政策は一昨年の11月の県議会の調査団として来ている。その時は、フランス南部のアビニョン郊外にあるMOX燃料製造施設メロックスに行った。かなり原子力政策全般について調べることができたが、今回は最近の地球温暖化との関連やEU域内での各国間の考えなどについて聞きたいと考えてきた。

フランスのエネルギー政策は1973年から74年の第一次オイルショックを契機に策定された。3つの基本がある。
1 長期にわたるエネルギーの安全かつ継続的な供給対背の確立ができる。
2 競争力のある価格でのエネルギー提供が可能である。
3 環境において、次世代へ配慮しつつエネルギーの持続可能な発展ができることである。

そういった認識で大胆な原子力推進政策を実現してきた。そして同時に、核燃料サイクル政策を基本に据えてきた。
その結果、石油石炭に恵まれないフランスでありながら世界第4位のエネルギー消費
国、第一次エネルギー消費の国内自給率が約50パーセント(1973年時点で26%)となっている。しかもそのような状況でも、二酸化炭素の排出量は世界第27位と比較的低位にあるのはまさに原子力の恩恵だ。


フランスの全電力生産の約77%が原子力で、残りが水力や再生エネルギーとなってい
る。電力に余裕があるフランスでは周辺諸国へ電力を売っている。ドイツやスペインは購入する立場だと言うことは以前の調査でも聞いた。
原子力発電も順風満帆ではなかった。
特に政権に緑の党が入った1997年から2002年までは大きな政策転換を余儀なくされた。原発の廃止を訴える緑の党は、スーパーフェニックス(高速増殖炉実証炉)の廃止と新規建設の見送りを政策に盛り込んだ。しかし、2002年の選挙で政権が交代し、緑の党が政権から抜けると再び原子力推進の政策がとられることになった。

フランスの原子力は現在58基ある。
加圧水型である。その平均運転暦は18年だ。
課題は耐用年数だ。今まで耐用年数を30年としていたが法律を変えて40年にした。それでも2015年から20年にかけてほとんどの原子炉が40年を越える。
2004年にはノルマンディーのフラマンビルに新たな原子力発電所の建設を決定した。
160万キロワットと最大級の加圧水型だ。
「今後の原子力発電は、ジェネレーション4です」と塩崎さんが言う。つまり次世代原子力への取り組みだ。これの詳細は明日中部電力に聞く予定だ。


フランスは核燃料サイクルが進んでいる。
日本の使用済み燃料はフランスに運ばれて再処理される。フランスでは再処理され取り出されたプルトニウムは再びウランと混ぜられてMOX燃料に加工され、約20基の発電所で使用されている。
再処理で残る高レベル放射性廃棄物はバタイユ法で処分方針が検討されている。
深層処分や浅地処分さらに核半減期の短縮などが検討されている。

一方、電力の自由化の動きは急だ。
1996年から始まった流れは2004年に国営会社(UDF)が民営化された。
EU指令などによってフランスの原子力政策も変わる。

ITER(国際熱核融合実験炉)の綱引きの話も聞けた。
フランスを含むEUとロシア・中国がフランスのガダラッシュを押すのに対して、アメリカ・韓国・日本グループは日本の六ヶ所村だ。
核融合炉の決定は今年の6月には決まる予定だが、予断を許さない。


フランスの政策について。
フランスは重厚長大産業立国だ。したがって世界市場で日本企業と競争になる。
新幹線が中国でフランスに決まった。台湾の新幹線が日本だから政治的に考えても日本に勝ち目がないことは明白だが、フランスの企業がほとんど国営会社であることも注目だ。
したがって売り込みも政府が一丸となってやる。国営だから当たり前と言えば当たり前だが、最近の武器輸出などはやりすぎだ。
820人を運ぶA380(エアバス)も競争に勝っている。
しかし、重厚長大で官僚的な組織では、ハイテクやナノテクには弱い。
この分野では日本に勝てない。


一時間余に及ぶ話を終えて大使館を後にする。
とおりの風は肌に心地よい。
昼時の街角はレストランのイスで通りがあふれている。
適当なお店を見つけて昼食。
終わってメトロ(地下鉄)へ乗って移動する。
メトロはとっても便利で使いやすい。
どこへ行くにも何度乗り換えても出なければ1.5ユーロ。切符は自動改札だが、電車は変わっている。半自動扉で、乗るときや降りるときは自分でハンドルを回したりボタンを押す。駅のアナウンスもまったくないから(一路線のみある)駅ごとの表示に目をこらしている必要がある。

茨城県から派遣されている富沢さん
移動は地下鉄(メトロ)自動改札
-茨城県から派遣されている富沢さん-
-移動は地下鉄(メトロ)自動改札-

◆4月12日 

午前中ベルサイユ宮殿へ、小旅行。
今までパリへは3回ほど来たことがあるが、ベルサイユへは行っていなかった。
「パリへ来てベルサイユへ行かないのは・・・」ということわざもあるらしい。
そこで地元日本人向け観光業者のバス旅行に加わってベルサイユへ。
シャンゼリゼ通りを抜けて凱旋門を横目に郊外へ向かう。
ポルトガルとフランス国旗がひらめいている。凱旋門の無名戦死の墓にポルトガルの大統領の献花が行なわれるのだという。
13号高速道路(またの名前をノルマンディー道路)を走る。
郊外へ向かう道はスムーズだが、パリ市内へ向かう路は大渋滞だ。
程なくベルサイユの町へ。

人人人のベルサイユ宮殿

周辺は森や牧場が広がる。パリ郊外ですぐこんな自然が開けているなんて素敵だ。
ルイ13世が狩で入った土地にルイ14世が世界に類を見ない宮殿を造った。
悲劇のマリーアントワネットとその夫ルイ16世まで、約100年間栄華を誇ったベルサイユ宮殿が北欧菩提樹(チオル)の大きな通りの先に見えてきた。

-人人人のベルサイユ宮殿-
フランス革命以来住人はいない。
ナポレオンも好きな宮殿だったが、パリ市民の批判を恐れて住むことはなかった。それ以来国立博物館として見学ができる。また各国レセプションなど国際政治舞台となってきた。
有名な第一次大戦後のベルサイユ条約はこの鏡の間で行なわれたし、最近ではサミットも開催された。
大勢の観光客が押しかけており、チケットの購入で長い行列に並ばなくてはならない。

12時過ぎにはパリ市内へ。
オペラ座の裏でバスツアーが解散してそのままメトロでモンパルナスのホテルへ。
中部電力の豊田さんと沖さんと合流。
今日はヨーロッパにおける原子力発電と二酸化炭素排出抑制策について話をうかがう。
なぜ中部電力がヨーロッパに駐在員を置いているか。それが疑問だったが、環境政策と原子力政策の最先端を走るヨーロッパの情報を入手するのは大きな意義がある。
-ヨーロッパにおける原子力発電の現状-
従来のEU域内にはフランスの59基から英国(27)、ドイツ(18)、スウェーデン(11)、スペイン(9)、ベルギー(7)、フィンランド(4)、オランダ(1)の8カ国136基の原子力発電所がある。
2004年5月から新規に加盟した中欧・東欧10カ国のうちチェコ(6)、スロバキア(6)、ハンガリー(4)、リトアニア(1)、スロベニア(1)にも18基あり、全体では25か国中13カ国にある原子力発電所は総数154基となっている。
各国の原子力政策には大きな違いがある。
推進はフランスとフィンランド。

フランスは、昨日の調査でも分かったように、新たな原子力発電所を建設することが閣議決定された。緑の党が政権入りした2002年までの原発に批判的な政策から転換するために「全国規模のエネルギー公開討論」を実施した。そのことによって原子力の重要性を再確認した。2004年5月に「欧州型加圧水型原子炉(ERP)実証炉」を国内で建設する閣議決定をして現在国会で審議中だ。


フィンランドはチェルノブイリ以降増設の議論は行なわれてこなかったが、2002年5基目の建設を許可し議会も承認して建設を始めた。2009年の運転開始を目指してヨーロッパ初のERP炉が建設されようとしている。
イギリスでは、効率の悪いガス炉で建設されてきた。1995年に国産技術でないPWR発電所の運転開始以降新たな計画はない。
電力の民営化が進み、現状では電源の選択は民間事業者の経営判断に任されている。


ブレア政権下の2003年エネルギー白書では原子力について明確な取り扱いは避けられたが、5月総選挙後は変化があると予測される。それは、温暖化防止での二酸化炭素排出量の抑制で原子力政策に変化が出ることもある。
スペインは現在の社会党政権の下、原子力発電は2024年までに閉鎖を公約に掲げる。
一方で、環境政策優先を掲げるため二酸化炭素削減方針で今後の展開は不明。

オランダも現状維持状態。
現在の発電所の寿命である2013年までに閉鎖の立場であるが、それらの決定には法律改正や事業者との合意が必要で、その決定は2010年ごろになる模様だ。

スウェーデンは1980年の国民投票で、原子力発電は運転計画中の12期のみとし、耐用年数が来たものから順次閉鎖するとしている。

1999年に1基閉鎖され、2005年5月末にさらに1基閉鎖される。しかし、代替電源は確保されていないのが現状であり、さらに毎年2回から3回行われる国民調査では、80%が「継続やリプレイスまたは新設」を希望している。廃止された2基のバーセベック発電所は隣のデンマークの首都コペンハーゲンに近く、 デンマークがかなり強硬に廃止を要請していた。そのことも廃止理由として大きい。

ベルギーは2003年2月に「2015年から2025年に原子力発電所を段階的に廃止」という脱原発法が成立した。しかし、2003年5月の総選挙で環境保護派が大敗して政権から抜けると「脱原子力法」の見直しを検討し始めた。

ドイツは1990年安全上の理由から旧東ドイツの原子炉を閉鎖した。
社会民主党と緑の党の政権下で2001年6月、政府と事業者が脱原子力協定で合意し2002年4月脱原子力法が発効した。
運転期間を32年と定めた上で、残存発電量を規定して一定期間の運転が確保されたので現在ではあまり原発については議論されていない。
2003年には1基目の発電所が閉鎖された。
ただ風力発電の設置が世界一のドイツだが、立地点がこれ以上難しくなってきたし、系統連携でも困難が指摘されてきた。既に多くの電気をフランスなどから購入している事から、今後のエネルギー政策が注目される。


イタリアはチェルノブイリ以後、国民投票で「原子力凍結」が決定し、1990年までに閉鎖された。しかし電力を外国に頼っている現状を憂慮し「原子力発電所を再び持つという考えを棄てるべきでない」と今年始めベルルスコーニ首相が発言している。さらに最大電力会社が6基の原子力発電所を所有運転するスロバキアの電力会社の株式の約3分の2を取得している。間接的に原子力政策を進めている。

各国の原子燃料サイクルについて簡単に触れる。
フランスでは2基の再処理工場がありMOX燃料を21基で使っている。オランダでは英仏に再処理を委託しているが利用は未定だ。
イギリスは再処理されるがプルトニウムの利用は未定。
スイスも英仏に再処理が委託される。3基でMOX燃料が使用される。今後は、2006年末に再処理契約が切れ10年間再処理は凍結見込み。既に中間貯蔵施設ができたので深層処分に向けて研究中。
ドイツも英仏へ再処理委託,14基の原子炉でMOX燃料を使っている。脱原発法で2005年7月以降再処理のための移送が禁止されるため,全発電所内に中間貯蔵施設が整備されている。ただ処分サイトについては選定が未定。
ベルギーは当初再処理をしてMOX燃料として使用していたが,2001年以降の使用燃料はサイト内へ保管している。ただし最終処分選定は未着手。
スウェーデンは直接処分として深層処分を基本としてサイトの調査中。
フィンランドはスウェーデンと同じでサイト調査中。
スペインも直接処分でサイト調査中。

最近の動きとして注目されるのは、地球温暖化のための二酸化炭素排出に関して原子力発電が不可欠であるという認識が高まってきたこと。
つまりエネルギーセキュリティを表に出すより温暖化防止が重要だという認識か。
またイギリスも2003年にエネルギー白書が出されたが原子力については明確にかかれていない。特に,2004年から5年にかけてイギリスは従来のエネルギー輸出国から輸入国へ転落する。既に、2050年に60%の二酸化炭素削減を白書で打ち出しているイギリスとすれば、再生可能エネルギーでまかなえなければ原子力政策を明確に打ち出す可能性もある。

温暖化防止への取り組みについて
京都議定書が同意されたのは1997年だ。
その時に2008年までに国際排出権取引市場を整備することが決まった。当初、欧州委員会は批判的だったが、2000年に「京都議定書の発行のいかんにかかわらず目標達成を」とする欧州委員会グリーンペーパーが支持された。
米国が京都議定書に不支持を表明した2001年、欧州排出量取引指令案が提出され各国で協議され2003年に欧州議会と理事会で指令が採択された。

欧州排出量取引について
EU各国の国内法が整備され2005年1月欧州独自の制度がスタートした。
「世界がやらなくてもEUは先行する!」その決意の程が伝わってくる。
京都議定書が国単位の排出量遵守スキームに対して、EU−ETS(EU―エミッショントレーディングスキーム)は設備レベルで京都議定書と同じ構築をしている。
当面2007年までの対象は、2万キロワットを越す発電施設、石油・鉄鋼・ガラス・セメント・セラミックス・紙・パルプだ。各国は国内にある各施設に排出枠(キャップ)を割り当てて、各施設はそれの遵守が求められる。排出枠と実際の排出の過不足が市場で調達・取引されることになる。
もちろん域内だから京都議定書とは関連しない。しかし、この実績が当面排出枠の移動を域内にとどめ将来につながっていくことは予想される。それがEUの戦略である。
さらにEUへの東欧諸国などの加入によって排出権の市場は拡大していくし、メリットも予想される。
罰金は2007年までが、二酸化炭素1トン当たり40ユーロ、2008年からは100ユーロとなる。したがってエネルギー多消費型工場では、排出枠を超えた場合かなりのコスト負担となる。逆に枠内に収まった場合には排出枠を売ることが出来て利益になる。
特に、電力の場合「石炭」にするか「ガス」にするか、この排出権価格が大きくかかわってくる。短期的には、排出枠を買って二酸化炭素を多く排出する安い石炭を使っても、長期的に排出枠の価格が高くなれば高いガスの使用のほうが全体コストが下がることも出てくる。
それほどこのEU−ETSは注目に値する。
ただしこの試みはEU域内だけであり、アメリカはもちろん、中国・韓国・インドなど他地域では取り入れられる気配はない。
そのような状況でなぜEUがはじめたのか。
「武士は食わねど高楊枝」と言う言葉は日本人だが、どうもヨーロッパもそうかもしれな
い。
地球が危ないから救う「救世主」として行動しなければならない、かつて世界に君臨した帝国の意地を髣髴とさせる。世界をリードしてきたと言う自負心は、
「自分のことしか考えないアメリカがやらなくてもEUはやる!」
イギリスなどは先のエネルギー白書で「2050年までに60パーセントの削減!」を発表している。再生エネルギーが現在3%だが、2010年には10%、2020年には20%だという。で見直せばいい。
それがイギリスはじめEUの手法かもしれない。
しかし、一方でしたたかな戦略もある。
それは二酸化炭素に価値を持たせて市場で売り買いをするマーケットを造ってしまったことだ。経済が動くシステムを作った意義は大きい。そして一番の支えは、そんな市場経済を支える民度の高い国民・市民がいることだ。
25カ国のEU加盟国の人口は4億5千万人。それにノルウェーが加わる。


GDPは1,400兆円だ。アメリカと同規模、日本の2倍以上だ。
ドイツ・イギリス・フランスで人口比で45%、GDP比で54%をしめる。
EUには今後トルコ・ルーマニア・ブルガリアなど人口が多く途上国が加入してくる。域内での排出権売買は活発化するだろう。二酸化炭素の排出を抑え域内の経済効果が発揮できるスキームが世界に先駆けて出来るわけだ。
アメリカが参加しない状況の中で、日本は少なくてもアジア地域とは、EU版スキームを考えるべきだろう。
しかし、日本は現在、韓国や中国と外交的に紛争状態にある。以前から言われている経済統合はもとより経済協力もおぼつかない状況だ。
そんな状況の中で、日本が「京都議定書議長国」としてどんな対応をとっていくのか世界は注目する。
4月22日県庁で地球温暖化防止推進に向けて大いに参考になった。


◆4月13日 

3日間滞在したパリを離れる。
ベルサイユへ行って気になったマリーアントワネットの最後、投獄されたコンシェルジュリーを見学する。シテ島にありノートルダム大聖堂の近くだ。

パリ北駅で。赤の車両がタリス

ブリュッセルへ向かう特急タリスは高速新幹線で、北駅を出てパリ〜ブリュッセル間を1時間半で結ぶ。サンドウィッチを取って車窓に見とれているうちにあっという間についた。いわゆる在来線に乗り換えて、目的地ゲントへ向かう。

-パリ北駅で。
赤の車両がタリス-

在来線というが、乗っている約30分間に泊まる駅はないし、日本の特急並みの乗り心地だ。
しかも,車窓から見える風景は、牧歌的な風景で、時折点在する集落には満開の桜が見えて楽しませてくれる。本当に美しい風景だ。
ゲントに到着する。
県の雲母さんらとの待ち合わせはフローラ会場となるホリデーインホテルとなるのでタクシーで向かう。運転手が陽気に話し掛けてくる。
5年に一回開催されるフローらの自慢だ、私が日本から来たことを告げると「ジャパニーズガーデンはすばらしい!」とほめられる。
ホテルで合流し、今回のフローラのオペレーションマネージャであるヤン・デーマンさんから説明を受ける。


ゲントフローリアは200年の伝統を誇る。
2年に一回開催される花の祭典である。今回で33回を迎える。
4月15日から始まって24日までの10日間開催される。
10日間の予想入場者は36万人だという。花博覧会の入場者を意識してか「本当はもっと入るのだが、セキュリティーの関係で1時間3200人に入場制限しています」と説明を加える。
いきなり「公式招待を受けていますか?」と聞かれる。
そういえば正式に招待状は持っていない。急に不安になるが「はい!心配なく、すぐに明日の開会式の招待状を持ってこさせます」に一安心。
しかし「ビジネス交流会にも出ますか?」と聞かれて、それは「ノー」に残念そうだ。
15日には本来の目的であるビジネス交流会の説明会がある。毎日、会期中は夜のビジネスイベントがある。
私たち日本の花博覧会の経験者にはわかりにくいがこうだ。
このフローリアの費用は二つの大きな収入によって賄われる。
一つは入場料で、もう一つが「18時以降のビジネスイベントから」という。
このような花のイベントはゲントを核に毎年どこかで開催される。
ジェノバ、バレンシア、ナンテス(?)、ブダペストなどだ。高レベルな花の展覧会で、花の市場交流と夜の社交界の接待などに使われる。
これを使う企業は、メルセデスベンツや欧州の有名銀行などだ。
もちろん少人数の接待などにも利用される。
王室の冠を頂いた花の会場で、入場者が帰ったあとで繰り広げられる夜の特別VIP待遇での夕食会などは希望が多いらしい。
したがって庭の出展者からはお金は取らない。またスポンサーというものもない。
いわゆる本当に利益がある人のお金によって成り立っている。もちろん税金が直接投入されることもない。
ヤン・デーマンさんの仕事は、バイヤーとセラーの仲介役だと言うわけだ。
生産者はさまざまな品種を作る。その品種を作るのに多大なコストがかかる。それを見てもらって買ってもらうためには、このイベント会場で最高級のデザインで注目を集める必要がある。
花産業の現状について聞いた。
「単なる観葉植物は低下している。一方切花は急激に伸びている。アレンジフラワーの市場が増えている。高級な花屋さんでレディーメイドのアレンジフラワーが売れる。スーパーでは安い花をたくさん買って自分でアレンジする」生産者も、どこにマーケットの対象を置くかでターゲットを決めてイベントに参加する。
一時間の短い時間だったが、最後にヤン・デーマンさんは
「将来浜松との交流をやりたい。浜松でやるときにはお手伝いをしたし、ゲントへもどうぞ!」コンサルタンツとしての売込みにも余念がない。
一足先に来て庭を造っている中山さんたちと合流する。
ホテルを確保してもらっていた。
ゲントの旧市街の真ん中、聖バーフ寺院のまん前にあるこじんまりとしたホテルだ。 夜は、その6人と県の二人を入れて懇談会を。二日間の庭造りの苦労話を聞く。

聖バーフ寺院とホテル

庭を施工していたのマルクボーエンさん。
木や石はセットされていたが、「彩が足りない」と中山さんは感じた。
職人としてプライドがあるだろうからと控えようとしたが、一緒を仕事しながら気心が通じだすと、提案をした。

-聖バーフ寺院とホテル-

ボーエンさんは提案を受けて自宅のヤードまで材料の植物を取りに行ってくれた。中山さんも一緒についていったが、盆栽などたくさんあってすごい業者だと言うことだ。
一本20万もするであろう木も、お金は取らない。
さつきもほしいと思っていたら、会場入り口付近で作業していた皐月専門業者が快く
「ただで使って良いよ!」
後で「ジャパニーズガーデンで使ってくれた!」と大変喜んでいたと言う。
ベルギービールを飲みながら話は盛り上がった。明日の開会式が楽しみだ。

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